topprevnextend operation manual

5. パラメーターリファレンス

5.2. オシレーター1/2セクション

OSC1 sectionOSC2 section

  1. Wave/Quality
  2. SYNC (オシレーター1のみ)
  3. FM (オシレーター2のみ)
  4. PulseWidth
  5. Pitch
  6. Detune
  7. Key Follow
  8. Modulation Source/Destination A/B
  9. Modulation Depth A/B
  10. Modulation Velocity Sens. A/B

2つのオシレーターセクションは音色の元となる波形信号を発生します。オシレーター1にはオシレーターシンク、オシレーター2にはFMの機能が追加されています。


5.2.1. Wave/Quality

オシレーターの波形と音質を設定します。

(1) Wave

波形を設定します。サイン波、三角波、のこぎり波、パルス波の中から1つ選択します。

Excitonのような減算方式シンセサイザーではオシレーター波形は音色を決める重要な部分です。波形で重要なことは波形そのもののよりも倍音成分の分布で、倍音成分が多いほど高音を多く含む明るい音色になります。それぞれの波形を図の左半分、周波数分布を右半分に示します。

サイン波

sine wave

もっとも基本的な波形です。図のように滑らかな波形で一種類の周波数成分(基音)だけを持ち、倍音成分を持っていません。

三角波

triangle wave

二等辺三角形の波形です。聴感上はサイン波に近い感じですが少しだけ奇数次の倍音成分を持ちます。

のこぎり波

sawtooth wave

図のようにギザギザした波形で、基音とともに2倍音(強度1/2)、3倍音(強度1/3)、...、というように多くの倍音成分を持ちます。この倍音分布をフィルターで調整することによりいろいろな音色を作り出すことができます。

パルス波

pulse wave

長方形を組み合わせた波形です。のこぎり波と同様に多くの倍音成分を持ちますが、倍音成分の分布をパルス幅を変えることによって変化させることができます。パルス幅50%の時は基音、3倍、5倍、...、というように奇数次の倍音成分のみを持っていますが、パルス幅を細くしていくと偶数次の成分が現れさらに奇数次の倍音の割合も増大していきます。


(2) Quality

オシレーターの音質を設定します。L(Low)/M(Middle)/H(High)の中から1つ選択します。

Excitonは高音質のオシレーターを実現するため、MiddleとHighのオシレーターで特殊なデジタルノイズ除去処理を行っています。

デジタル信号はアナログ信号と異なり、倍音成分を持つ波形でエイリアスノイズと呼ばれる雑音が発生します。エイリアスノイズの大きさはオシレーターの周波数によって異なります。オシレーターの周波数とノイズ発生量の大まかな関係を下図左に示します。図で分かる通りノイズは低周波数ではあまり問題になりませんが、周波数が高くなると大きく耳障りなノイズが発生します。ExcitonはMiddleとHighのオシレーターでこのノイズを除去する特殊な信号処理を行っています。

Highのオシレーターではすべての周波数領域でエイリアスノイズを可聴レベル以下に抑制する処理を行っています。音質は最も高品位ですがCPU使用量がやや増加します(下図右)。

Middleのオシレーターはより実用的で、CPU使用量を抑えながらエイリアスノイズを聴感上気にならないレベルに抑えています。最高域で少しだけノイズが発生しますが可聴範囲の上限近くなのでほとんど聞こえません。通常は何も気にせずMIDを使用してよいでしょう。

一方Lowは全く処理を行わないため高域で大きなノイズが発生します。これを残している理由は2つあります。1つはベース音に用いる分には問題ないこと、もう1つは高域で発生するノイズを効果音として用いることができる点です。オシレーターの波形をのこぎり波またはパルス波、クォリティーをLOWに設定してオシレーターのPitchを一杯高く設定すると思いもよらないノイズを発生させることができます。

osc-noise relation osc-cpu relation

なおサイン波だけは倍音成分がもともと存在しないためエイリアスノイズは発生しません。Lowでも十分に高品位な音質が得られます。(MiddleやHighの方がわずかに高品位ですが聴感上ほとんど区別できません)

またHighのサイン波は非常に高音質です。S/N比は120dB近くありますから科学技術分野での精密測定の基準信号としても使用できますが、音楽用にはLowでも十分です。よほど高品位のDACを使用してでもいない限りまず差を聞き分けることはできないでしょう。


5.2.2. SYNC (オシレーター1のみ)

オシレーター1のオシレーターシンクを設定します。

オシレーターシンクをオンにするとオシレーター1の波形がオシレーター2の位相が0になる毎にリセットされます(下図参照)。その結果オシレーター1の基準周波数がオシレーター2にロックされ最終的な波形はオシレーター2の基準周波数にオシレーター1の変調が加わった複雑なものになります。聞感上は高調波成分を多く含むぎらぎらした感じの独特の音色が得られます。

oscillator sync

典型的なオシレーターシンクを使った音色作りの例を示します。

オシレーターシンクをオンにするとオシレーター1の基準周波数がオシレーター2にロックされます。そこでオシレーター2のピッチでオシレーター1のベースピッチが設定されます(同じになる)。

次にオシレーター1のピッチをオシレーター2よりも高く設定し、さらにLFOやエンベロープなどでピッチを変化させます。するとベースピッチはそのままで(オシレーター2にロックされている)、倍音成分が大きく変化して独特のぎらついたような音色になります。オシレーター1の波形にのこぎり波やパルス波など倍音成分の多いものを用いるとよりはっきりと効果が現れます。


5.2.3. FM (オシレーター2のみ)

オシレーター2のFMの変調量を設定します。

FM (周波数変調) は波形に変化を与えるテクニックのひとつで、他のオシレーターを用いて周波数に速い変化を与えて波形に変化させます。Excitonではオシレーター2がこの機能を持っており、オシレーター1の出力波形を用いてオシレーター2の波形を変化させて複雑な波形を作ることができます。

FMの値を上げるとオシレーター2の波形がオシレーター1の波形によってゆがめられ、元の波形にはない倍音成分が作られます。これを用いて特に高調波を多く含む波形の作成に適しています。

なおFMによってできる新たな高調波成分に対してはオシレーターではエイリアスノイズを除去できません。特に高域ではHIGHのオシレーターを使っていてもFMを効かせるとエイリアスが発生することがあります。耳障りなノイズが発生する場合は必要に応じてフィルターで取り除くのが賢い方法です。

(技術者向けトリビア)

Excitonの"FM"は厳密な周波数変調とは異なり、実際にはそれによく似た位相変調を用いています。

周波数変調と位相変調はその働きがよく似ていますが、信号処理の観点からは位相変調の方がやや効率的です。そのため"FM"機能が付いたシンセサイザー(古くはYAMAHA DX7など)の多くは実際には位相変調を用いています。これは歴史的な理由によるもので位相変調よりも"FM"という名前の方が一般に通りがいいため営業戦略的にFMという名前が広まったようです。今ではこれを気にする人は技術者くらいのもので、皆さんは気にせず自由に音作りを楽しんで下さい。


5.2.4. PulseWidth

パルス波の幅を設定します。この設定はオシレーターの波形にパルス波を指定したときだけ有効です。

パルス幅は0〜100%の間で設定します。50%(中央)が矩形波で、前後に動かすと徐々にパルス幅が細くなります。0%または100%にするとパルス幅が0になり音が出なくなります(バグや故障ではありません)。

パルス幅と波形の関係を下図に示します。

pulse width description

パルス幅を変化させると連動して波形が上下方向に変化します。これにより信号のDCオフセット成分をゼロにキャンセルしています。


5.2.5. Pitch

オシレーターの音程を半音単位で設定します。

MIDIノートオンメッセージに対するオシレーターの周波数を半音単位で設定します。PitchはMIDIノートに対して-48(-4オクターブ)〜+48(+4オクターブ)まで1(半音)単位で設定できます。


5.2.6. Detune

半音以下の微調整を行います。

-100cent(半音下)〜+100cent(半音上)で設定します。


5.2.7. Key Follow

MIDIノートオンメッセージに対するオシレーターの音程変化率を設定します。

キーフォロー率は0〜200%の値が設定でき、100%(中央)でノートに対して半音ずつ増加し、通常のキーボードと同じになります。200%では全音、また50%では1/4音(クォータートーン)になります。また0%にすると全てののMIDIノートに対して同じ高さの音になり、音程はキーに関係なくPitchDetuneだけで決まります、


5.2.8. Modulation Source/Destination A/B

オシレーターに加えるモジュレーションの設定を行います。

Excitonはエンベロープが2系統(ENV1/2)、LFOが2系統(LFO1/2)、計4系統のモジュレーションソースを持っています。これを用いてオシレーターのピッチにモジュレーションを加えて音程を変化させることができます。またパルスオシレーターを用いる場合はパルス幅にもモジュレーションを加えることができます。さらにオシレーター2はFMにもモジュレーションを加え変調の強さを変化させることができます。1つのオシレーターにつきA/B合わせて2系統のモジュレーションを設定できます。

(1) Source

モジュレーションソースを指定します。ENV1/ENV2/LFO1/LFO2の中から1つを選択します。

(2) Destination

モジュレーションの設定先(デスティネーション)のオン/オフ設定を行います。

PITCHボタンをオンにするとモジュレーションソースを用いてピッチにモジュレーションを加えます。またPWMボタンをオンにするとパルスオシレーターのパルス幅にモジュレーションがかかります(他の波形では何もしません)。またオシレーター2はFMにもモジュレーションを加えることができます。複数同時にオンにすることもできます。


5.2.9. Modulation Depth A/B

モジュレーションの大きさを設定します。

モジュレーションは+/−両方向に設定できます。例えばエンベロープをピッチに加える場合、+方向に加えるとピッチ上昇、また−方向だとピッチを下げる方向にモジュレーションが加わります。

ノブのスケールは直線的ではなく、0%付近は変化が小さく、また±100%付近では変化が大きくなっています。これによりピッチの微妙な揺らぎや、効果音などでピッチを大きくスイープする場合の両方で適切な調整ができます。

効果音などで周波数を大きく変化させたいときにモジュレーションを100%にしてもまだ足りない場合は、モジュレーションA/B両方を同じ設定にするとモジュレーションを2倍加えることができます。また2系統で足りない場合はアサイナブルモジュレーションを用いることもできます。


5.2.10. Modulation Velocity Sens. A/B

モジュレーションのMIDIベロシティー変化率を設定します。

変化率を100%にするとノートオンベロシティーに応じてモジュレーションの大きさが0〜200%の範囲で変化します。変化率を0%にするとノートオンベロシティーによらず常に一定になります。

velocity sens. relation

オシレーターのモジュレーションにベロシティー変化を加えることで、音に色々な強弱表現を加えることができます。例えばブラス系、ウィンド系の音色で音の立ち上がりにピッチ変化を加える場合、ベロシティーの強弱によってピッチ変化の割合を変えて音に表情を加えることができます。